女子バスケ選手として、海外・ハワイ大学で活躍した綾部 舞さん。先陣を切って女子バスケ界の新しい領域を切り開こうとする綾部さんに、力強いお話をお聞きしました。
 
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バスケとラグビーの二刀流
 バスケットボールを始めたのは小学2年生の時。姉が小学校のバスケチームに入っており、共働きだった両親は、姉と一緒に学校から帰らせたいという思いで、私を姉と同じチームに入れたのがきっかけでした。その頃、私は幼稚園から始めたラグビーにのめり込んでいて、バスケとラグビーを両立していました。こうして二刀流選手として活動をしていましたが、中学ではラグビーのために部活を抜けることができなくなり、バスケットボールに専念することに。その頃、周りからバスケットボール選手として認められ始めた私は、バスケのおもしろさに魅せられていきました。バスケとラグビーは似ているところがあり、中学まで両方を続けてきてよかったと思っています。
 

海外へ向かう気持ち
 高3になり、大学進学について考え出した私は、自由を求めアメリカの大学に挑戦したいという気持ちが芽生えました。そんなおぼろげな気持ちを確かな形にしてくれたのは、すでに留学を決めていたチームメイト2人でした。彼女たちの選択に背中を押され、私も「留学したい」「アメリカに行きたい」という気持ちが固まりました。早速、両親に相談し、留学先は親戚が住んでいるハワイに決定。今なら情報収集の方法はいくらでもあると思うのですが、当時、高校生の私にはそのような術も環境もありませんでした。そんな中、私が唯一これだけは譲れないというルールがありました。それは、ルームメイトは日本人以外であるということ。もちろん海外の地で日本人の友人も大切なのですが、何が何でも英語を使わなければならない環境に身を置くため、自分に課したルールでした。こう言うと何だか大変そうに思えるかもしれませんが、ルームメイトとはお互いに伝え合おうと努力し、その結果、英語力がのびました。今振り返っても、楽しい時間だったなあと思います。
 
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夢と家族の思い
 ハワイに渡ってからは語学学校に通い、大学入学のために必要なTOEFLの勉強をしました。こうして1年が経った頃、父から「先が見えないから帰国しなさい」と言われてしまったのです。その矢先、最後に受けたTOEFLの試験で、大学の合格点に到達。とにかくこのまま帰国するわけにはいかないという思いで、ハワイ大学付属の短大へと進みました。短大にバスケ部はありませんでしたが、ハワイ大の付属ということで、将来を見据えた選択でした。そして、短大は四年制大学より学費が安く、仕送りをしてくれている両親の負担を減らすためでもありました。学校生活では大学を卒業すること目標とし、バスケットボールはストリートやジムで楽しみながら続けていました。
 
ストリートで男性を相手にしていたこともあり、女性の中で目立つ存在となっていた私は、ある日、ゲームに出場した際、レフリーの目に留まり声をかけられました。「君は四大でプレーするべきだよ」と。レフリーの紹介でサマーリーグに参加し、2か月ほど活動しました。そんな中、ハワイ大学のコーチに声をかけられ、トライアウトへの参加を認めてもうらことができたのです。
 
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夢をかけた挑戦
 しかし、両親からは反対されました。「もし、入学金や学費を払ってハワイ大に進んでも、トライアウトに合格しなかった場合、学校はどうするのか。1学期でやめてしまうのか」と。両親には申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、せっかく巡って来たチャンス、あきらめることはできませんでした。ハワイ大に進み、トライアウトを受ける日がやってきました。“体力には自信がある。背が小さくて足が速いからディフェンスでプレッシャーをかけよう”。結果、トライした8人中私1人だけが合格。両親の反対を押し切って挑戦したトライアウトでしたが、無事に合格することができました。レフリーとの出会いから始まった幸運。人のつながりに恵まれたことに、今でも感謝しています。

 
苦手だった英語が楽しくなった
 これから留学を考えている皆さんの中には、英語スキルに不安を持っている人もいると思います。私も高校時代、英語は得意な科目ではなく、ハワイの語学学校に通ってから必死で勉強をしました。一からやり直したという感覚です。でも、生活の中で英語を理解し通じると、楽しくて仕方ありません。友達の会話を聞いて言い回しを覚えることもありましたし、友達が自分より話せると悔しい気持ちにもなりました。こうして習得したことをすぐに試せる環境にいるのが、留学の醍醐味ですね。
 
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部活と勉強の両立
 ハワイ大学に入ってからは、部活と勉強の両立が求められました。アメリカでは当たり前のことで、チームにはアカデミックアドバイザーがついて、宿題のヘルプや成績の管理をしてくれていました。さらに、学生生活を支えてくれるチューターもいて、環境に恵まれていたと思います。チームメイトが集まって一緒に勉強する時間が確保されていましたが、部活と勉強を両立できない選手はプレーをさせてもらえなくなるので、皆が一生懸命取り組んでいました。
 
ハワイ大ならではのエピソードがあります。バスケットボールのシーズン中は、ハワイ大の選手たちは飛行機で遠征に行くことが増え、学校に行けたのは、学期中2日間のみなんてことも。アカデミックアドバイザーがテストを持って来て、遠征先で受けるということもありました。バスケットボールも勉強も充実していた留学生活、仲間に恵まれたこともあり、ホームシックにかかることもなく、楽しく過ごしました。
 
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英語を活かした仕事
 大学卒業後は帰国し、バスケットボールを続けたい一心でチームに履歴書を送りました。しかし、返事はありませんでした。女子リーグのベスト16に入ったチームの選手しかリクルートしないような風潮で、選手を続けることの難しさを痛感しました。
 
就職した会社では、英語を使って海外とやりとりをするような業務を担っており、同僚は帰国子女や留学経験者ばかり。それなりに楽しくはあったのですが、どこか自分の中でひっかかりを感じていました。そんな時、プロリーグの部長と会う機会があり、チームの監督たちが来るトライアウトに、私を誘ってくれたのです。トライアウトの日は仕事があったのですが、“絶対に行ったほうがいい”と直感が働き、仕事を休んで向かいました。そこで出会ったのが「ライジング福岡(現:ライジングゼファー福岡)」のヘッドコーチで、私をすぐさま通訳として呼びたいというお言葉をいただきました。次の日にはGMから電話を頂き、トントン拍子にチームの通訳に就くことになったのです。その後、トヨタ自動車アンテロープスを経て、千葉ジェッツふなばしの通訳をしています。留学で得たものが今につながっているのは、幸運だと思います。
 
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留学を目指す皆さんへ
 これから留学を目指す皆さんのことを考えると、いつも羨ましい気持ちになります。情報収集できる環境が整い、NBAの試合も気軽に観られるようになりました。岐路に立った時、自ら情報を得て判断材料にできる皆さんは、本当に羨ましい。だから、ワクワクすること、興味があることがあるなら、積極的にどんどん進んでほしいと思います。私の経験からお伝えすると、留学は絶対におすすめです! 英語が話せれば、できる仕事の範囲が広がるし、様々な国籍の人とコミュニケーションできる。それが自分の成長にもつながるのです。

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 私自身は、日本の女子バスケ界をもっと風通しのよいものに変えていきたいと考えています。日本の女子リーグは、外国人選手をチームに入れることもできず、世界を舞台に考えると、少し遅れていると感じます。でも、1つ言えるのは、男子より女子のほうが世界に羽ばたくチャンスが大きいということ。アメリカ人と日本人を比べると、男子より女子のほうが身体能力の差が少ないからです。可能性を秘めている女子バスケ選手の留学を支援していきたい。そして、女子バスケリーグの発展に貢献するのが、これからの目標です!

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